それぞれの苦しみ
こんなご時世だが、友人と会って話をした。
対面で会って話をする臨場性は、長い付き合いの友人でも思いがけない化学反応を起こす。
zoomやLINE電話とは明らかに違う、臨場性が生み出す「気」はいったいなんなのだろう。
友人はかれこれ30年近い付き合いで、わたしの大学時代の後輩だ。
べったりした関係ではないけれど、お互いの人生の歩みはほぼ知っている。
彼女のことが昔から好きだったし、今もつかず離れずの距離感で付き合いは続き今後も疎遠になることはないだろう。
30年弱の間、お互いに抱えている問題や悩みや秘密をすべてではないが都度都度共有してきた。
今回、彼女がわたしに語った内容はある種の地獄だった。
正直びっくりした。そんな問題を抱えているとは全然気づかなかった。
隠していたわけではないのもわかる。たまたま話すタイミングが今回だっただけなのだろう。
ハタから見ていると幸せそうで誰もがうらやむ人に思える彼女の抱える地獄を聞いて、自然とわたしの地獄も一部話した。
同じように彼女も驚いたと思う。
ひとは何かしらの問題を抱えて生きている。
他人に頼るのがとても苦手なのだが、
結局わたしが頼る相手というのは、みなわたしを頼ってくれたひとたちだ。
心を開いてくれたひとたち。
こんな年齢になっても自分から心を開くのが難しいのは情けないけれど、
それでも頼ってくれた人たちには自分も頼っていけるよう、地獄を抱えたままでも闇に落ちることはなくのろのろと進んでいくのだろう。