薬の管理
5月・しこりに気づき、がんの確定診断を受け、
6月・転院して手術のための検査をこなし、
7月・2泊3日の入院で手術。病理確定診断後、抗がん剤治療なし放射線療法のちホルモン療法に決定。
9月・転院して自宅近くの大学病院でリニアック。
10月・主治医のいる手術を受けた病院に再び転院してタモキシフェンの服用開始。
次の大きな検査は術後1年の2016年7月でそれまでは、なにかが起こらなければ基本経過観察となる。
5月の一番精神的にきつかった時期の記憶は抹殺されたのか封印されたのか思い出せない。いや、思い出さないように自分でロックをかけているのだろう。
当時は再発の恐怖に、手術する前からすでにおびえていた。
初発のがんで手術もこれからだというのに、再発したらもう終わりだ再発したら次はないんだ、と再発したときのことばかり考えていた。
再発した場合の衝撃と絶望に比べれば初発なんだからまだましだと、もっと大きな恐怖を考えることで目先の恐怖から気をそらしていたのか。
かなり地続きな絶望なので意味はないというか、恐怖倍増するだけだったのに。手術が終わったところで再発したら終わりなんだから何も変わらないと悲嘆にくれていた。
ところが、喉元過ぎればなんとやらで、最近のわたしは自分ががん患者であることを忘れていることが多い。
それはとても精神が健全な気がする。
自分が「わたし」ではなく「がんのわたし」だったのがやっと抜けてきたのだ。
生きていく上でプラスだが、実はマイナスな面もある。
がん患者としての自覚が薄くなったため、必ず毎日飲まねばならない薬を飲み忘れるのだ。
あれほど恐れた再発を予防する薬なのに!それでも飲み忘れる。
防止するための対策決定打はこれ。
飲んだか飲んでないかも忘れる、いかれた脳にはこれが一番よい。
薬に日付を書いてその日の分を飲む。今のところ朝飲むべき薬を夕方飲んだりもしているが、なんとか欠かさずに飲み続けている。