追悼 アラン・リックマン
デヴィッド・ボウイの訃報に打ちのめされている最中に、なんとアラン・リックマンも旅立ったというニュースを知って再び打ちのめされている。
ボウイについても、いずれは書きたいがまだ気持ちの整理がつかず、アラン・リックマンへの思いを先に残しておきたい。
アラン・リックマンの最初の強烈な印象は「ダイ・ハード」の悪役ハンスだった。
冷酷で知的な、狂気の頭脳犯ハンス。アラン・リックマンという人は私の中で天才悪役だった。
その後ハンスのイメージを完全に上回り一番印象深いのは、もちろんハリーポッターシリーズのスネイプ先生だ。
ハリーポッターは劇場公開時に観た作品は一つもなく、すべてDVDとテレビ放映されたものを自宅で録画してみているが、全8作トータルで200回以上みている。
うちの子どもたちはハリーポッターが大好きで、呪文もセリフも劇中の登場人物が言う前に次々言えるほど、まさしく暗記するほど観た。
子どもたちにとってもアラン・リックマン=スネイプ先生なので亡くなったことを告げるとショックを受けていたが、
私の中でハリーポッターという映画はアラン・リックマンをみるための映画、陰の主役はスネイプ先生で、スネイプという存在は陰どころかハリーポッターシリーズの胆なことに改めて気づかされた。
ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人がストーリーの中心ではあるが、
セブルス(スネイプ)がホグワーツの学生だった頃の、ハリーの父ジェームズ、ハリーの母リリーとの3人の関係も物語の伏線で何度も出てくる。
シリウス・ブラックもとても重要な役どころだが、シリウスとリーマスとセブルスも学生時代をともにすごした仲間だ。
第1作から第8作までとおして、ハリーの成長とともに、セブルス・スネイプの人間像、彼の過去、信じがたいほどの想いの強さが明かされていく。
ずっとハリーを妨害する存在だったスネイプが、ハリーの味方をして「え!?」っと思わせるシーンが第5作「不死鳥の騎士団」のアンブリッジとのやりとりだ。
ハリーが口にした「パットフットが・・・」の意味をスネイプがわからないわけがないのに、アンブリッジの前でしらばっくれる。ハリーの味方をしたといっていい。
スネイプもアンブリッジが大っ嫌いゆえにかもしれないが笑
第6作「謎のプリンス」はスネイプが作ったオリジナル呪文「セクタムセンプラ」も登場しスネイプネタ盛りだくさんだ。「セクタムセンプラ」には回復呪文もあることもわかった。傷ついたマルフォイをスネイプは回復呪文で助けるのだ。
そして死の秘宝Part1である。
この作品は全8作中一番ストーリーが暗い。ストーリー完結にむけての伏線が張りめぐらされる。スネイプも苦悩全開というか、すごみと苦悩と敵か味方かも確定できず、アラン・リックマンの真骨頂な気がした。
死の秘宝Part2
この作品を初めてみたとき、セブルス・スネイプの人生についてしばらく考えてしまった。それほど驚いたし今までのスネイプの言動などが次々よみがえってくる。
ハリーが「憂いの篩」でスネイプのすべてを知るシーンは、ハリーポッターの映画全8作の中で、私にとっては一番鮮明に記憶されているシーンだ。
スネイプにこれほど感情移入し惹きこまれるのは、絶対的にアラン・リックマンの功績でアラン・リックマンが演じていなかったら、スネイプはこれほど魅力ある人間像として記憶に残らなかっただろう。
昨年「ヴェルサイユの宮廷庭師」を劇場に見に行くつもりだったのに果たせなかったのが悔やまれる。アラン・リックマンの監督作品で俳優としても少しだけ出演していた。
これからも彼が出演した作品を見続けよう。
作品の中で彼は輝き続ける。